福井おおい町、砂防ダムで小水力発電、収益は地域活性化

福井県おおい町で町民らが中心となって全国でも珍しい、砂防ダムでサイホンの原理を活用した「サイホン式小水力発電所」での発電を始めた。建設費は町の特産品を返礼品とした協力金や市民ファンドなどで集めた。地域で作り出した再生可能エネルギーを関西電力に売電し、収入の一部を流域浄化や地域活性化に充てる地域還元の仕組みも動きだした。
最大出力は百二十七キロワット。年間で可能な発電電力量は八十六万一千キロワット時で、一般家庭二百軒が、一年間で使う電力に当たるという。

土砂災害軽減などを目的にした砂防ダムがあるのは同町名田庄納田終(のたおい)から小浜湾に流れ込む南川上流域。県の調査で、小水力発電に適した場所であることが判明したのをきっかけにまちづくりの住民団体「森林楽校・森んこ」などが発電方法の実験や市民ファンドの仕組み作りを進めてきた。

小水力発電所は、ダム湖水面から発電所の水車までの総落差一八・四四メートルを利用して発電する。ダム湖から発電所まで、全長約百六十メートルの配管内を真空にして水を満たすと「サイホンの原理」でダムの水を吸い上げて発電所まで流し続ける。真空化にはポンプを使う。
 最大出力は百二十七キロワット。年間可能発電電力量は八十六万一千キロワット時で、一般家庭二百軒が一年間で使う電力にあたる。建設費は約二億四千六百万円。三割近い六千八百七十万円を協力金や市民ファンドで調達し、融資や県、同町の補助金も活用した。年間約二千九百万円の売電収入を見込み、今後二十年以内に市民ファンドや銀行からの融資を返済する予定。
 事業化にあたり、温室効果ガス排出を減らし、持続可能な地域を目指す合同会社「おおい町地域電力」を設立した。発電所は昨年十一月に完成し、同十二月二十一日から関西電力向けに売電を始めている。

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