GMの水素を使ったEV充電システム

GMの水素燃料を使ったEV充電システムEMPOWERは、GMと米エネルギー関連企業「Renewable Innovations(リニューアブル・イノベーションズ)」により共同開発されました。EMPOWERの商用版は、充電ステーションや、交通量の多いスポットなどでEVの急速充電を提供する目的で開発されました。

GMによると、EMPOWERは、従来の充電ステーションと異なり、大規模で莫大な費用がかかる電気インフラのアップグレードを必要としないので、EVの急速充電をより安価に提供できる手段に成り得ると語っています。EMPOWERには、ハイドロテックパワーキューブと呼ばれるコンパクト設計の水素燃料電池システム8台と水素タンクが搭載されています。EMPOWERは、どこでも設置が可能ですが、内蔵タンクに搭載されている水素がなくなった場合、水素の補充が必要となります。

GMによると、EMPOWER急速充電器は、150kWからの出力レベルで、同時に最大4台のEVの急速充電が可能だそうです。同社は、これらの急速充電器を使用してEVをフル充電するのに約20分かかると見込んでいます。

GMは、EMPOWERをスマートフォンのモバイルバッテリーのように持ち運びが可能なバッテリーソリューションと表現しています。EMPOWERの充電器も、季節ごとに需要がある場所に一時的に配置することができます。例えば、大規模なフェスティバルで展開し、イベントが終わったら別の場所に移動させることができます。

GMは、水素燃料電池がEVへの充電だけでなく、さまざまな用途にクリーンエネルギーを提供するために活用できると説明しています。例えば、停電時に中小企業や住宅地でのバックアップ電源として利用することができます。また、作業現場や野外コンサートなど、従来の燃料を使う発電機で発電する場合の利用も可能です。

Hydrotecの3つのプロジェクトのうち1つは、軍事利用を目的としたパレット型MPGで、輸送用パレットの上に専用のMPGが搭載されたバージョンです。GMによれば、米軍はすでに軍事キャンプや軍事重装備の動力源としての使用を想定した評価をしているそうです。この製品はまだ試作品の段階ですが、60kWの発電機に相当する大きさで、通常のディーゼル発電機より70%高い発電量を実現するそうです。