塗るだけで発電!?スタートアップが実用化目指す「発電インク」

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ガラスなどにインクを塗って使う

ソーラーパワーペインターズは、小山工業高等専門学校の加藤岳仁教授が開発した発電インクの実用化を目指す。チタン系の金属や高分子ポリマーなどから作る。電極層や機能層、発電層などの役割別インクを塗り重ねて、発電機能を持たせる。技術の肝はインク材料の組成制御だ。インクの材料同士の接触面積が大きければ発電効率が高まる。一方、接触面積が大きすぎると安定性を損なってしまう。同社は発電効率を高めつつ、インクが安定する構造にコントロールする。下山田代表は「製造方法は簡単でコストは安い」と自信を見せる。

低コストに加え、吸収する波長を自由に設定できる点も強みだ。200~1000ナノメートル範囲の波長域から、吸収する波長を選択する。波長を調整することで、透過性を高めることもできる。鉛などの有害な物質を含まないため、簡単に廃棄できる。

現在主流のシリコン型太陽光パネルの発電効率が20%程度に対して、同インクは半分以下だが、軽く設置場所を選ばないという利点がある。従来よりも設備投資を10分の1程度に抑えられる。

 

先んじて狙うのはシリコン型太陽光パネルの補強材での活用だ。シリコン型は経年劣化によって発電効率が下がる。同社は開発するインクを塗ったフィルムなどを太陽光パネルの上に設置。シリコン型が吸収しない波長を吸収するインクを使い、劣化によって落ちる発電効率を補完する狙いだ。下山田代表は「シリコン型の発電を邪魔せず、効率低下を防げる可能性がある」と展望を話す。

透過性の特性を生かし、発電機能を持った窓ガラスやビニールハウス、フィルムなどの製品へ展開することを目指す。同社が供給したインクを使い、各種メーカーが製品化する計画だ。23年に各種機能別インク、24年には多層式塗布インクの製品化を目指す。塗ったインクはフィルムなどで保護して使う想定だ。また5年以内に発電効率を10%程度まで高める。同時に耐久性を高める開発も進める。最終的には塗るだけで保護層を形成できるインクの実用化する。

下山田代表は「塗るだけで保護層を形成できるインクを発展途上国へ広げたい」と未来を見据える。シリコン型太陽光パネルは価格が高く、発展途上国では導入しづらい現状を変えるためだ。「インクの価格は安く、製品の入れ替えも容易なはずだ」と見据える。この目標に向けて、日本から事業を推進し、海外企業と協業することを視野に入れる。

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