ウクライナ侵略で天然ガス高騰「石炭回帰」の動き、COP27「脱炭素」に影響

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今月2022年11月6日にエジプトで開幕する国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、ロシアによるウクライナ侵略が、脱炭素の議論にどのような影響を及ぼすのか注目される。侵略の余波で天然ガスの価格が高騰するなか、欧州などで「石炭回帰」の動きが出ているためだ。

ドイツ西部ゲルゼンキルヘンの石炭火力発電所

 昨年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」では、石炭火力発電の段階的な削減の努力が盛り込まれた。また、天然ガスや石油による発電に比べて石炭火力は温室効果ガスの排出量が多いことから、40か国以上が発電効率が低い石炭火力の廃止を目指すことで合意した。再生可能エネルギーなどによる発電への転換を加速させる動きだ。

 しかし、先進国が対ロシア制裁の一環でロシア産化石燃料の削減を進めたことで、天然ガスの需給は一段と 逼迫 し、安定供給に不安が高まっている。

 これまで「脱石炭」の議論を先導してきた欧州では、ドイツが今年6月、石炭火力を一時的に拡大する方針を表明した。イタリアやオランダ、英国なども石炭火力の再活用に向けた検討を打ち出した。

天然ガス価格の高騰で、新興国や途上国でも、経済成長のために相対的に安価な発電手段である石炭火力を活用する動きが出ている。

日本、30年度に19%へ削減目標

日本は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比で46%削減し、50年までに実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目標として掲げている。30年度の電力構成に占める石炭火力の割合は、従来の26%から19%へと削減する方針だ。

 産業革命前と比べた気温上昇を1・5度以下に抑えるとしたパリ協定での国際的な努力目標の達成に向け、「脱石炭」の計画に遅れを出さないための参加国の協調も試されそうだ。

読売新聞

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