東工大、水素の製造効率100倍に、色素増感型の光触媒

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東京工業大学の前田和彦教授らは、太陽光と光触媒で水を分解して水素を製造する効率を約100倍に高める技術を開発した。光触媒の表面を酸化物や高分子で覆うことで、水の分解をさまたげる反応を抑えた。次世代燃料として期待される水素の効率的な製造手法の開発につなげる。

開発した触媒を溶液中に混ぜて実験した

太陽光のエネルギーで水を分解し水素を作る技術では、反応を媒介する光触媒の性能がカギを握る。前田教授らは太陽光の多くを占める可視光を効率よく吸収する色素増感型と呼ぶ光触媒を開発してきた。ただ、水の分解に使う電子伝達剤と呼ぶヨウ素系材料が水の分解をさまたげる反応にも寄与してしまうことが課題だった。

研究グループは光触媒の表面を酸化アルミニウムや高分子(ポリマー)で覆うことで、この反応を抑えられることを見いだした。これにより、太陽光エネルギーを水素に変換する効率を約100倍の0.12%に高められた。2段階の光化学反応を用いるZスキーム型と呼ぶ色素増感型光触媒としては世界最高水準という。

前田教授は「色素増感型は太陽電池でデバイス化のノウハウがあり、水素のオンサイト製造に応用しやすい」と語る。デバイス化で変換効率が1ケタほど向上する可能性もあると見ており、実用化に求められる変換効率5~10%を目指す。

日本経済新聞

 

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