神戸酒心館(神戸市東灘区)は、酒造りで排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにすると発表した。10月には、この方法で醸造した日本酒「福寿 純米酒 エコゼロ」を発売。その後、全ての銘柄を同様の醸造工程に移行する。
同社によると、日本酒醸造のCO2排出量の実質ゼロ化は世界で初めて。
新たな醸造工程では、使用する電力を100パーセント再生可能エネルギー由来に切り替える。ボイラーの燃料も重油から、森林保護などで吸収・削減したCO2と相殺することでCO2排出が実質ゼロとみなされるカーボンニュートラルの液化天然ガスに変更する。
米を磨く精米歩合を従来の70%から80%に抑えるとともに、醸造日数を7日間短縮することで、それぞれのエネルギー使用量を減らす。商品は値上げせず、生産の効率化によって、脱炭素に伴うコストの増加分をカバーするという。
ラベルもなくし、商品名を瓶に直接印刷。使うインクは鉛を含むものから含まないものに改めるなどエネルギー以外の環境面にも配慮する。
安福武之助社長は「今後もサステナブル(持続可能)な酒造りで環境価値と経済価値の両立を目指し、酒蔵の継承、発展につなげたい」と話した。
醸造工程の脱炭素化後初の商品となるエコゼロは10月20日に発売。720ミリリットル、希望小売価格1650円。全国のスーパーなどで販売する。
神戸新聞社