米政府、中国製EVが高速道路に大混乱をもたらす可能性を懸念

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中国EVメーカーであるBYDのEV

米国政府は、インターネット接続機能をもつ外国製の自動車、とりわけ中国製の自動車がもたらす国家安全保障上のリスクについて調査を開始した。ジーナ・レモンド米商務長官は2月28日の会見で、中国政府からの遠隔操作によって米国の高速道路が大混乱に巻き込まれる可能性を指摘している。

「米国の道路に何千台、何十万台もの中国製コネクテッドカーが走っていて、それらが北京の誰かの指示を受けて一斉に動作不能になったらどうなるかを想像してみてください」と、レモンドは語った。

中国製の自動車に対する米国政府の新たな懸念は、BYD(比亜迪汽車)や吉利汽車(ジーリー)などのメーカーが自動車、特に電気自動車(EV)の世界的に主要なプレーヤーになってきたことから生まれている。その懸念には根拠がある。自動車がますますコンピューター化され、インターネットに接続されるようになるにつれ、新たなセキュリティの脅威に晒されやすくなっているからだ。

インターネットに接続された自動車を遠隔で動作不能にできることを、ハッカーたちはすでに示している。自動運転システムとインターネット接続のために自動車にはカメラやその他のセンサーが追加され、個人情報の“動く保管庫”にもなりうる状態だ。

センサーを搭載しインターネットに接続された自動車が、スパイ活動や米国市民のデータ収集、あるいは米国の道路上での破壊活動にどのように利用される可能性があるのか。その点について商務省産業安全保障局(先端技術に関連する国家安全保障問題を扱う部門)が調査するのだと、レモンドは言う。

今回、中国製自動車に警鐘が鳴らされたことは、米国政府がジョー・バイデン大統領の下、そしてその前のトランプ大統領の下、中国の技術的野心に懸念を抱いてきた流れをくんでいる。トランプ大統領は、中国の通信機器メーカーであるファーウェイや、5Gワイヤレス技術に取り組むその他の企業に制裁を課し、中国のAI企業も同様の規制の対象とした。バイデン政権は、最先端のチップの中国への流入を積極的に制限した。米国の機密データが中国に流出することに対する懸念から、連邦政府のほとんどのデバイスではTikTokの利用が禁止されている。

こうした動きは、米国の自動車メーカーがEVの販売目標を達成できず、BYDのような中国の自動車メーカーが記録的な世界販売台数を誇示し、新工場を建設している最中に起きた。中国メーカーの多くは中央政府から数十億ドルの支援を受け、米国メーカーより効率的かつ収益性の高いクルマ、特にEVを生産している。

BYDとテスラの発表によると、BYDは世界トップメーカーのテスラを1月にEV販売台数で上回った。昨年、中国は世界最大の自動車輸出国になっている。

「中国は不公正な方法さえもいとわぬやり方で、将来の自動車市場を支配しようとしている」。ホワイトハウスが発表したバイデンの声明には、こう記されていた。「中国の政策は、米国市場に中国製自動車を氾濫させ、米国の国家安全保障にリスクをもたらす可能性がある。わたしの目の前で、そのようなことが起きるのを許すつもりはない」

台頭する中国メーカーのパワー

中国の自動車メーカーは、まもなく米国市場への“直接攻撃”を開始するとみられている。最近の報道によると、BYD、MG、奇瑞汽車(チェリー)を含む中国の自動車メーカーは、メキシコで低コストのEVを生産する計画だという。これにより北米の貿易協定を利用し、中国からの輸入車に対して課せられる27.5%の関税を回避することが可能になる。

業界団体である米国製造業連合(Alliance for American Manufacturing=AAM)は2月、米国の自動車メーカーにとって中国が「重大な」脅威であるとした。AAMは米国の政策立案者たちに対し、「中国共産党の浸透を阻止するため、積極的かつ発展的な戦略を採用する」よう求めたのだ。

ホワイトハウスのラエル・ブレイナード国家経済顧問は2月28日、米国の自動車メーカーも競争に参加できてはいるが、その勝敗は急速に中国の自動車メーカー側に傾いているように見える、と語った。「中国は長年にわたり、EVの生産能力を大幅に増強するためにさまざまな補助金や保護策を講じてきました。中国の自動車メーカーはいま、海外市場に自社のクルマを大量に投入しています」

自動車が投げかけるセキュリティのリスクは、コンピューター化が進み、より多くのセンサーが搭載され、ネットワーク化が進むにつれ増大している。バイデン政権の国家安全保障担当大統領次席補佐官(サイバー・新興技術担当)であるアン・ニューバーガーは最近、米国は同盟国と協力して自律走行車がもたらすリスクに対処するための基準を策定していると、『WIRED』の取材に対して語っている。ニューバーガーによると、政権は米国の道路でのテストが承認された中国の自律走行車について懸念しているという。

政権当局によると、調査は中国製の部品やその他の技術にまで及ぶかもしれないという。これには、レーザーを使って道路をマッピングし、障害物を発見するLiDAR(ライダー)システムが含まれる可能性がある。LiDARシステム市場でも、中国メーカーは主要プレイヤーだ。

当局は、中国が米国企業のコネクテッドカーに制限を課していることに注目している。テスラ製のクルマは、例えば会議場や展示センターなども含む軍や政府関連のエリアでの走行が制限されていると報じられている。

この動きは米中間の緊張を高める危険性がある。この措置が貿易制限につながれば、中国から対抗措置が出される可能性もあるだろう。「中国の報復がどのようなものになるかを見守る必要があります」と、政府高官は語っている。

WIRED論評から抜粋

“米政府、中国製EVが高速道路に大混乱をもたらす可能性を懸念” への1件の返信

  1. これは米国の屁理屈による露骨な中国製品排除にしか思えません。中国が暴発しなければいいのですが。。。皆さんはどうお感じになられましたか?SCN:伊東

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