太陽光パネル80万トンが寿命へ。廃棄パネルはどうなる?

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住宅の屋根に設置された太陽光パネル

地球温暖化の解決策として太陽光発電の導入が進む中、その裏でさまざまな問題が発生している。例えば、壊れた太陽光パネルがそのまま放置されている場所が全国各地にある。

パネルの寿命は約30年ほどしかなく、その後は捨てられるしかないため、2040年ごろから大量の廃棄物が発生すると予想されている。
太陽光発電はクリーンなエネルギーを生み出しつつも、将来世代にゴミを押し付けてしまっている側面があるので、そんな太陽光パネルの廃棄問題の解決策になるかもしれない新技術を紹介する。

廃棄パネルから新しいパネルを作る技術

2023年9月に、太陽光発電の事業者や施工会社、産業廃棄物の処理業者などで作る一般財団法人「PVリボーン協会」が、「新見ソーラーカンパニー」と一緒に、パネル再生の一番のネックであった太陽電池セルの封止剤を電気で熱した高温の水蒸気で気化させる方法を開発した。
この技術が開発されたことにより、廃棄された太陽光パネルから新たな太陽光パネルを作り出せるようになった。
現段階では再生した太陽光パネルの発電能力が新品の50%にとどまっているため、引き続き発電能力の向上に取り組むとのこと。

太陽光パネルの廃棄量が増加

太陽光パネルの解体

環境省によると、2030年代以降には最大で年間80万トンの太陽光パネルが寿命を迎えると推計されている。
現在は、寿命を迎えたパネルを破砕して再利用しているが、太陽光電池内に水分を入れないようにする部材の除去が難しく、道路の路盤材など発電とは別の用途で使われることが多いようだ。
紹介した廃棄パネルから新たなパネルを作り出す技術が発展し、発電能力を最大限に高められれば、太陽光発電の最大の問題であるパネルの大量廃棄が解決するかもしれないとのこと。
制度的には2023年7月から、太陽光発電の廃棄費用の積立制度が始まった。再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)の改正によって、廃棄費用の外部積立が原則として義務化されるためだ。
固定価格買取(FIT)制度の買取価格には、もともと廃棄費用相当額が含まれているが、実際に廃棄費用を積み立てている事業者は2割程度とされる。太陽光発電の本格的な導入から10数年経ち、太陽光発電設備が今後、大量に廃棄される見通しだ。太陽光パネルは鉛やセレンなどの有害物質を含むことがあるため、適正な廃棄に向けて廃棄費用の積立が義務化されることになった。

10kW以上の事業用太陽光発電「強制廃棄費用積立」

廃棄費用の積立の対象となるのは、FIT・FIP認定を受けた10kW以上のすべての事業用太陽光発電事業者だ。買取認定を受けた事業者や買取義務をもつ電気事業者が対象となる。10kW未満の家庭用太陽光発電は対象とならない。
積立の方法には外部積立と内部積立がある。外部積立とは、買取価格から積立費用を予め差し引いて源泉徴収的に積み立てる方法。基本的には外部積立が原則となり、電力広域的運営推進機関が積立金を管理する。
外部積立では、買取期間の後半の10年間が積立期間となる。義務化は2023年7月から開始される。開始時点で買取満了まで10年を切っている場合は、2023年7月から買取満了日までが積立の対象期間となる
一方、内部積立は発電事業者自身が積み立てるものだ。長期的な積立ができる責任能力があるかどうかの審査をクリアした場合にのみ、例外的に認められる。内部積立では、保険や保証サービスの活用も可能とされている。
外部積立の費用は、発電量に応じて加算される。1kWhあたりの積立費用の基準額は、認定年度や入札区分によって異なり、おおむね0.52~1.62円/kWh(税抜き)となっている。積立基準額の一覧は下表のとおりだ。なお、記載の基準額は消費税抜きの単価である。

外部積立の頻度は、買取と同じく原則として月1回だ。買取価格が市場価格に連動するFIP制度で積立金が不足する場合には、年1回まとめて積み立てるとしている。
買取期間が満了し太陽光発電設備を解体・撤去する場合には、電力広域的運営推進機関から積立金を取り戻すことができる。その際は、取戻しの審査を受ける必要があり、申請書や解体を行うことを証明する書面などを提出する。また、買取期間中であっても、発電規模を認定容量の15%以上かつ50kW以上に縮小する場合には取り戻しが認められる。
いづれにしろ遅きに失しているし、相当規模の事業者が対象であり、個人所有の太陽光廃棄については自己責任による自己負担ということで大問題になるまで棚上げといった状況である。

大量廃棄以外の問題も

太陽光パネルは、パネルの廃棄問題以外にさまざまな問題を抱えている。
ある住宅街では、木を伐採して大規模なソーラーパネルを設置する工事が進められたことで地盤が緩み、一部の家で裏の斜面から土砂が流れ込む被害があった。
また、大規模な木の伐採をするため、森に棲んでいた生き物たちが暮らせなくなり、豊かな自然や生物多様性が失われてしまう危険がある。

 

Forbes論評より抜粋

“太陽光パネル80万トンが寿命へ。廃棄パネルはどうなる?” への1件の返信

  1. 東京都は2025年4月から新築住宅は太陽光パネル設置が義務化されます。太陽光パネルはいづれ必ず寿命が来ます。再生するにしろ廃棄するにしろ、かなりの費用が発生します。義務化するのですから、処理施設や制度設計の計画、費用負担の明示化を実施するまでに公表すべきだと思います。皆さんはどうお考えになられますか?SCN:伊東

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