トヨタ、オートポリスで水素FCEVごみ収集車を出展、引き合いが多く年度内に実用化

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トヨタが開発した小型トラックFCEV「FCごみ収集車(技術検討試作車)」

質量エネルギー密度に優れる水素

カーボンニュートラルは世界的に向かうべき方向性として定められており、その実現として自然エネルギーや再生可能エネルギーなどさまざまな手段が研究されている。移動体であるモビリティにおいては、なんらかの蓄積エネルギーが必要となり、効率を上げつつあるリチウムイオンバッテリを使うバッテリEVなどが選択肢の1つとして選ばれている。
ただ、体積エネルギー密度や質量エネルギー密度の点から見ると、リチウムイオンバッテリはまだまだ進化の過程にあり、とくに質量エネルギー密度においてはガソリン系に大きく劣ることから、トラックなどの大型車両の場合は荷物を運んでいるのか、バッテリを運んでいるのか分からないという難しいバランスになってしまう。
そこで有力視されているのが、体積エネルギー密度や質量エネルギー密度に優れる水素を使用するモビリティ。とくに70MPaの高圧気体水素を燃料に使い、FC(燃料電池)を使用するFCEVは、トヨタ「MIRAI(ミライ)」が2世代目に入るなど技術的背景が確立している。とくに、トラックなどであればボディの大きさから70MPaの高圧気体水素燃料タンクを搭載しやすく、カーボンニュートラル車両として成立しやすい。

難点は水素ステーションの数が少ないという問題があるのだが、ルートを走る商用車であれば解決しやすく、適切なスケジューリングなど一定の需要を作ることができれば、商業的にも解決しやすい部分でもあるとのこと。

FCEVごみ収集車の架装部

今回、トヨタがオートポリスで披露したのが70MPaの高圧水素を燃料にした小型トラックFCEV「FCごみ収集車(技術検討試作車)」は 通常の小型トラックのシャシーをベースにFCEVコンバージョンしたもので、FC(燃料電池)と70MPaの高圧水素タンク、駆動用モーターを搭載して走る。

特徴は、塵芥車ならではのごみ収集部の駆動エネルギーも水素由来としたことで、水素からFCで発電、その電気でごみ収集部の油圧機構に必要な油圧を別のモーターで作り出している。
これは、新たに架装部を作り直すことなく従来の油圧機構を利用、ディーゼルエンジン由来の油圧機構ではなく、水素由来の電動モーターとすることでカーボンニュートラルエネルギーを利用した静かな架装構造を実現している。
展示されていたのは福岡市と一緒に検証を行なっているFCごみ収集車だったが、これは福岡市のごみ収集時刻が夜でもあり、とくに静かなごみ収集車が求められているため。電動で走り、電動でごみ収集部を駆動するFCごみ収集車であれば、静かな住宅地においても使い勝手が大変よく。グローバルに引き合いが多いとのこと。

FCEVごみ収集車の油圧駆動部

それにリチウムイオンバッテリーは低温下での性能が劣化するため、寒い地域での放電力が予約なる。一方FCEV車は低温下の方が発電効率が良くなるため、バッテリーEVが不得手な寒冷地で活躍できるものとして注目されているとのこと。

CarWatch記事から抜粋

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