都市ガスの9割が「合成メタン」置き換わるかも

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合成メタンでは天然ガスや液化天然ガス(LNG)の既存インフラやサプライチェーンが活用できる

水素と二酸化炭素(CO2)から都市ガスの主成分であるメタンを合成する「メタネーション」が本格的な技術開発期に入ってきた。

現在、都市ガスの主な原料は天然ガスや液化天然ガス(LNG)だ。これらは石炭や石油に比べれば少ないものの、ガス燃焼時にCO2を排出する。

一方、メタネーションによって作られる合成メタン(e-メタン)は合成の段階でCO2を取り込んでおり、燃やしてもCO2の排出量が相殺され、実質排出ゼロとなる仕組みだ。都市ガスにおけるカーボンニュートラルへの切り札として期待されている。
2050年には都市ガスの90%を合成メタンに

政府が2021年6月に掲げた「グリーン成長戦略」では、仮に国内の都市ガスすべてをメタネーションによる合成メタンに置き換えた場合、国内のCO2総排出量の約10%を削減することが可能としている。

東京ガスと大阪ガスは2030年に都市ガス全体の1%を合成メタンから作り出すと表明、政府は2050年までに同90%という目標を掲げている。

合成メタン導入における利点として挙げられるのが、現状のLNG・天然ガスの既存のサプライチェーンをそのまま利用可能な点である。供給側は既存インフラを活用することで切れ目なく柔軟にLNG・天然ガスを供給でき、需要側も都市ガスの既存設備を使うことで設備コストを抑えながら脱炭素化が図れるとのこと。

また、合成メタンへの置き換えを進めることにより、現状輸入に頼っているLNGへの依存の低減にもつながる。

一方、最大の課題がコストである。経済産業省は2021年6月、安価なグリーン水素を調達する供給網のあり方などを検討する「メタネーション推進官民協議会」を設立、さまざまな業界とともに実用化や低コスト化を議論していくとのこと。

日本ガス協会は2030年のメタネーションの実用化と、2050年に現在の天然ガス由来の都市ガスと同水準の価格を実現する目標を掲げている。

富士経済によれば、世界の合成メタン市場において日本が約半分を占めており、今後も日本が市場を牽引して都市ガスなど産業用燃料分野を中心に拡大していく。2022年の市場規模は16億円の見込みにすぎないが、2050年には2兆3012億円と2021年比1438.3倍になるとしている。

四季報記事から抜粋

 

 

 

 

 

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