清水建設、カーボンニュートラル対応の地盤改良工法を開発

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清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、(株)東洋スタビと共同で、混合処理工法による地盤改良工事のカーボンニュートラル対応技術として、改良対象地盤に溶融スラグとバイオ炭を混入することで、施工に起因するCO2排出量を実質ゼロにする脱炭素型地盤改良工法を開発しました。本工法では、高温で溶融させた焼却灰等を冷却・固化した溶融スラグを混合することで粘性土の土性を改善し、製造時に多量のCO2を排出するセメント系固化材の使用量を低減させます。併せて、固化材使用量の製造に伴うCO2排出量を、バイオ炭に吸収・固定化されたCO2量と相殺することで施工のカーボンニュートラル化を実現します。

混合処理工法による地盤改良工事のCO2排出量は、固化材として利用するセメント量の多寡に左右されます。溶融スラグの混入により改良対象土の土性が改善されれば、その分、要求強度の充足に必要なセメント量を抑制できます。他方、バイオ炭は、バイオマス原料を不完全燃焼させて炭化したもので、木材から生成したバイオ炭には、木が光合成で吸収したCO2が固定されています。農業分野では、「バイオ炭の農地施用」が国のJ-クレジット制度の対象として認められ、バイオ炭によるCO2貯留量が環境価値としてクレジット化されています。本工法では、セメント系固化材によるCO2排出をバイオ炭による炭素貯留で埋め合わせ、施工時CO2排出量を実質ゼロにします。バイオ炭の使用量を増やすことで、CO2の排出削減量と固定量の合計が排出量を上回るカーボンネガティブの実現も見込むことが可能になります。

本工法の施工では、改良対象地盤の上に溶融スラグ、バイオ炭、セメント系固化材を敷き均した後、混合撹拌機で攪拌して締め固めることで、要求強度を充足する地盤を構築します。溶融スラグの混合量は改良対象土1m3あたり550~1,750㎏で、これによりセメント系固化材の使用量を既存工法と比べて約60%削減できます。炭素貯留に利用するバイオ炭の混入量は改良対象土1m3あたり10~30㎏です。なお、溶融スラグはセメント系固化材より安価なため、約30%のコスト低減効果も見込めます。

清水建設ニュースリリースから

 

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