太陽光の廃棄・処理問題。業界団体が「意見表明」

太陽光発電協会(JPEA)は8月29日、太陽光発電の健全な普及を目指すための意見表明を行い、地域住民から懸念される事項を解消するとともに、太陽光発電の「あるべき本来の姿」の実現に向けた取り組みを積極的に行う姿勢を明らかにした。合わせて新規開発を行う事業者が目指すべき方向性についても述べている。太陽電池パネルの廃棄・処理問題については、放置や不法投棄、有害物質の流出・拡散などに対する国民の不安や懸念を踏まえ、当面の対策にとどまらず、将来的に大量排出されるようになった際の対策にも言及した。

太陽光発電事業者の「あるべき本来の姿」として、土地開発を行う企画立案から発電所の運用・管理、撤去・処分までのあらゆる段階で、関係事業者が取り組むべき課題について示した。▽地域住民との良好なコミュニケーション▽災害発生・自然環境に十分配慮した立地場所の選定と開発計画▽各種法令およびガイドラインを踏まえた開発と事業運営の徹底▽地域に配慮した事業運営と適切な維持管理による長期稼働▽適切な設備廃棄を実行するための事業計画・資金計画(積立金など)▽地域の雇用創出やエネルギー自給率向上・脱炭素化、災害時の電源への貢献―などを事業者の責務とする。

さらに「これからの取り組み」として、荒廃農地・耕作放棄地などの未利用地の活用、開発段階における地元企業の活用、災害時に地域に電力を供給できるシステムの導入など、地域住民にも利益となる運用を求めた。こうした取り組みの実現のためには、事業者、地域・自治体、国など全てのステークホルダーが、それぞれの観点で検討する必要があるとしている。

JPEA 意見表明補足資料② 3-3 〈使用済太陽電池パネル処理の流れ〉より

ガラスは再利用先の開拓が課題

懸念の声が高まる太陽電池パネルの廃棄・処理問題については、リサイクルに向けた環境整備が整いつつあると説明。JPEAがホームページ上で公開するリサイクル可能な中間処理業者は、6月時点で30カ所となった。太陽電池パネルはジャンクションボックスとアルミフレームを分離後、主に銅・アルミ材料としてリサイクルされる。その他のガラス・セル・EVAはガラスとそれ以外の部分に分離し、リサイクルを行う。ただし分離する技術は、現時点では確立されていない。

ガラスの再利用先の開拓も課題となっており、ガラス関連事業者や建設資材事業者などに再利用を求める方向で検討している。リサイクルできないものは、環境省のガイドラインに沿って管理型最終処分場で埋め立てを行う。処分のための費用は7月に施行した「改正再エネ特措法施行規則」に基づき、外部積立される積立金で賄う。積立金は運転開始から11年目以降、売電収入から差し引く。

今後想定される太陽電池パネルの大量排出に向けては、関係事業者が連携してルート・ネットワークを構築する計画。家電などのリサイクルと同様に、収集拠点の設置や巡回回収などの運用体制を整える。リサイクルに誘導する施策として、JPEAでは公的補助やインセンティブ、リサイクル高度化・低コスト化に向けた基準の設置を関係省庁などに求める。

他に長期安定稼働の実現のための具体策として、▽地域内での事業集約化やスマート保安の普及促進▽高効率太陽電池パネルの追加設置による収益改善▽地域内外の再エネ設備を束ねるアグリゲーターの育成▽電力市場の整備―を提示した。

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