「TPV発電」に注目、効率40%の研究も 再エネを「熱電池」に

熱光起電力(TPV)セル」を放熱板に取り付けたもの。大きさは1センチ角=(C)Felice Frankel

熱から電気をつくる「TPV発電(熱光起電力発電)」という技術が注目されている。米国の研究チームは今春、TPV発電で効率約40%を達成したと科学誌ネイチャーに発表した。再生可能エネルギーを「熱電池」のように使ったり、廃熱を有効利用したりすることも期待されている。どんな技術なのか。

TPVのイメージ。太陽光や廃熱などで「エミッタ」と呼ばれる材料を加熱し、そこから出る「ふく射光(ふく射)」を、化合物半導体を使った「光起電力セル」で電気に変える=東北大の清水信准教授提供

 新潟大学の櫻井篤准教授によれば、TPVは「サーモ・フォト・ボルタイック」の略語だ。太陽や高温の金属などの熱源からは「ふく射光」という光が出ており、それを光電変換というしくみで電気エネルギーに変える。光電変換には、ガリウムやインジウムなどを組み合わせた化合物半導体を使う。

 米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)と米国立再生可能エネルギー研究所のチームは、ガリウムなどを組み合わせて1センチ角の「TPVセル」を開発した。1900~2400度の熱源から出るふく射光で、効率約40%で発電した。

 研究チームは今後、技術を発展させて大型化し、「熱電池」のようなシステムを作ることを考えている。再生可能エネルギーでつくった電気で炭素(グラファイト)のブロックを加熱して熱をためておき、必要な際に発電に使うのだという。

 MITの研究者は「この技術は安全で環境に優しく、電力生産にともなう二酸化炭素の排出を抑えるのに、とても大きな効果を発揮する」としている。研究成果は科学誌のサイトに掲載(https://www.nature.com/articles/s41586-022-04473-y)された。

朝日新聞

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